英傑幻庵因碩(復刻版)

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江戸末期の文化文政から天保、弘化、嘉永にかけての碁界は、碁聖たる本因坊丈和を筆頭に、元丈、知得、幻庵因碩、秀和の名棋士や、「天保の四傑」といわれた伊藤松和、安井算知、太田雄蔵、坂口仙得らが百花を競った囲碁史上の黄金時代である。
本書では、この中で、名前が四度も変わり、波瀾の生涯を送った幻庵因碩の碁を鑑賞する。
因碩は顔中アバタで、眼光がするどく、諸方を遊歴するときなど、博徒の親分と間違えられたことも多かったそうな。妾を奪って遁走した弟子を取り押さえ、「碁を捨てるな、俺の碁盤もくれてやるわ」といった痛快な人情話があるかと思うと、
「火事で全焼した城作りに重い費用を諸侯に課すとはなんぞや」と将軍を諌める上書をさしだすなど、ともかく因碩は碁界の枠をはみだしたスケールの大きい人物なのであった。
本書を機に、幻庵因碩のファンがどんどん増えてくれれば私は幸せである。