黎明秀甫(復刻版)

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秀甫は、幕末から明治初頭にかけ動乱の時代を生きた名棋士である。 
本書では師の本因坊秀和、芸兄秀策、それに弟弟子分でもあった秀栄との対局譜を主に、方円社を取り巻く棋士たちとの数局を紹介している。秀甫は碁打ちとして生涯をまっとうしているから対局数も多い。その一部は第三章で紹介したが、とてもその全貌を伝えるものではない。
囲碁歴史上、秀甫は道策、秀策、丈和などには著名度において一籌を輸するが、その盤上の技術、構想の妙、布石の工夫いずれをとっても並び称されて不思議はない実力者である。その特徴はとくに盤上全てに波打つかのような中盤の力強い攻めにあった。師の秀和は「秀策がもし生きていても秀甫には……」の言をのこしてその芸を評価している。
時の第一人者でありながら、その生涯は決して恵まれたものではなかったが、秀和、秀策、秀栄と歴史に名高い名棋士たちと多くの実戦の機会を持ち得たのは碁打ちとしての最高の幸せであったろう。
読者の皆さんに秀甫の碁の素晴らしさを鑑賞していただければ幸いである。